忘れられた教室 - 木造校舎の囁き(短編)

山間の静かな村に、一つの古い木造校舎の小学校がありました。

この学校は百年以上の歴史を持ち、その風貌はどこか懐かしさを感じさせるものでした。

しかし、村の人々はこの学校を忌み嫌い、近づこうとはしませんでした。

なぜなら、校舎は奇妙な噂に包まれていたからです。

 

ある日、若い教師のナオミがこの学校に赴任しました。

彼女は古い建物に魅了され、新しい職場に希望を抱いていました。

しかし、赴任早々、ナオミは学校の不可解な現象に遭遇し始めました。

 

授業中、彼女は時々、壁の中から子供たちの声がするのを聞きました。

   「こっちだよ... ここにいるよ…」と、

また、夜間には教室のドアが勝手に開閉する音が聞こえてきました。

当初、ナオミはこれらの現象を風のせいだと考えましたが、次第に不安を感じるようになりました。

 

ある夜、ナオミは学校の図書室で古い日記を見つけました。

その日記は、かつてこの学校に通っていた生徒が書いたもので、そこには

  「教室の壁の中には何かがいる」

という記述がありました。

ナオミはこの謎を解明しようと、地元の図書館で学校の歴史を調べ始めました

。彼女は学校が過去に何度か火事に遭い、その度に再建されていたことを知りました。

また、ある火事の際に、数名の生徒が行方不明になったという記録を見つけました。

 

この事実に動揺したナオミは、更に調査を深め、行方不明になった生徒たちの家族に話を聞きました。

家族たちは、その当時の出来事を悲しみながら語りましたが、子供たちの行方については何も知らないと言いました。

 

ナオミは、行方不明になった生徒たちが学校の火事の際に亡くなり、その霊が校舎に留まっているのではないかと考えました。

彼女は学校の敷地をよく調べることにしました。

夜、ナオミは学校に残り、教室や廊下を調べました。

すると、彼女は一階の古い教室で、床板が一部ゆるんでいるのを見つけました。

好奇心に駆られたナオミは床板を開けると、そこには何かが埋められているような跡がありました。

 

ナオミは警察に通報し、床下の調査が行われました。

調査の結果、床下から数名の子供たちの遺骨が発見されました。

遺骨は火事の際に亡くなった生徒たちのものと特定されました。

 

この発見により、学校の歴史に新たな一章が加わりました。

行方不明になった生徒たちの遺骨は、各家族たちの元に届けられ、彼らの魂はようやく安息を得ました。

 

ナオミはこの事件を通じて、忘れ去られた過去が時には重い影を落とすことを学びました。

また、村の人々は学校に対する見方を変え、古い校舎を大切にするようになりました。

 

最後までお読みいただきありがとうございます。

このお話しはフィクションです。