夜鐘の呪い - 忘れ去られた寺の秘密(短編)

昔々

ある山中に古びた寺がありました。

その寺は、かつては多くの信者に支持される賑やかな場所でしたが、時が経つにつれて人々の記憶から消え、廃寺と化していました。

しかし、この寺には不吉な伝説がありました。

毎夜、寺の鐘が自ら鳴り響くというのです。

 

この現象に興味を持った大学の研究チームが、夜の寺を訪れることにしました。

彼らは、科学的な機材を持ち込み、この現象の謎を解明しようとしました。

夜が訪れ、一行は緊張の中、寺の本堂で待機しました。

 

深夜、誰もいないはずの寺院から突如として鐘の音が響き渡りました。

研究チームは慌てて音の出所を探しましたが、鐘を動かすものは何も見つかりませんでした。

しかし、その時、彼らは本堂の奥から不気味な声を聞きました。

声は「逃げて…」と繰り返し囁いているようでした。

 

恐怖にかられた一行は、速やかにその場を離れようとしましたが、出口への道が見つからず迷い込んでしまいます。

彼らは何度も同じ回廊を回るが、出口へと続く道はどこにもありませんでした。

そして、一行は次第に奇妙な現象に気付き始めます。

廊下の絵画や仏像が、彼らを見つめ、動いているように見えたのです。

 

突然

一行の中の一人が、自分の名を呼ばれたと叫びます。

しかし、他の誰もその声を聞いていなかったのです。

恐怖に駆られた彼は、一人で本堂から飛び出し、暗闇の中を走り去りました。

 

残ったメンバーはさらに深い恐怖に包まれながら、何とか寺を出る方法を探しました。

すると、彼らは本堂の裏にある小さな庭園に出ました。

そこには、古い石碑があり、碑文には

   「この寺の鐘は、罪を犯した者の魂を呼び寄せる」

と記されていました。

 

やがて、朝が訪れ、メンバーは無事に寺を出ることができました。

しかし、彼らの一人は行方不明のままでした。

寺から戻った後、彼らは調査をやめ、二度とその寺を訪れることはありませんでした。

 

この事件以来、

「夜鐘の呪い」

と呼ばれるこの寺の伝説は、一層恐ろしいものとなりました。

寺の鐘は今もなお、夜ごとに鳴り響き、罪深い魂を呼び寄せていると噂されています。