廃墟病院の囁き - 忘れられた患者の声(短編)

かつて賑わいを見せていた町の郊外に、今は誰も近づかない廃墟の病院がありました。

この病院には、患者が不可解な状況で次々と失踪したという噂があり、その後、病院は閉鎖されました。

大学の心霊研究グループのメンバー、ヨシキは、この廃墟病院の噂に魅了され、真実を探るために調査を始めました。

彼は仲間たちと共に、夜の病院を訪れる計画を立てました。

 

彼らは夜に病院に到着し、静寂に包まれた廃墟を探索し始めました。

病院内は荒れ果てており、壁には不気味な落書きがされていました。

彼らは廊下を進むうちに、遠くから囁くような声を聞きました。

声は

   「助けて」

と繰り返し囁いており、その声の源を探るため、彼らは病院の奥へと進みました。

彼らが病院の地下室に到達すると、そこには古いベッドや医療機器が放置されており、壁には怪しげな記号が描かれていました。

 

地下室で、彼らは突然、目の前に透明な人影を見た。

人影は、かつてこの病院の患者だった女性の姿をしていました。

女性の霊は、自分たちが病院で行われた恐ろしい実験の犠牲になったと語りました。

 

霊によると、病院の一部の医師は非倫理的な実験を行っており、多くの患者がその犠牲になっていたのです。

霊は、自分たちの遺体がまだ病院のどこかに隠されていると言いました。

 

ヨシキたちは霊の話に衝撃を受け、警察に通報しました。

警察と共に行われた調査で、病院の隠された部屋から数体の遺体が発見されました。

これにより、病院の恐ろしい実態が明らかになりました。

   「こっちだよ…助けて・・・」

と、どこからか聞こえました。

ヨシキたちは、発見された遺体が全てではないことを感じ取り、さらに病院の調査を続けました。

彼らは病院の古い記録や文書を調べ、かつて病院で働いていたスタッフや患者の家族にも話を聞きました。

調査を進める中で、彼らは病院が閉鎖される少し前に、一連の失踪事件が発生していたことを発見しました。

失踪した患者たちは、病院で特別な治療を受けていたとされ、その治療には秘密があると噂されていました。

 

ヨシキたちは、病院の地下室に隠された秘密の部屋を発見しました。

部屋には古い実験装置や記録が残されており、そこで行われていたのは人間の精神に関する危険な実験だったことが明らかになりました。

 

さらに彼らは、実験に関わった医師たちが、患者を無理やり実験に参加させ、その結果、多くの患者が命を落としたり精神を病んだりしていたことを突き止めました。

これらの事実は、病院の廃墟に残る患者の霊たちの叫び声の理由を説明していました。

 

ヨシキたちは、これらの発見をもとに、病院で行われた実験の真実を公表しました。

このニュースは社会に大きな衝撃を与え、かつての患者たちの悲劇が正義の光を浴びることになりました。

 

警察と地元自治体は、病院跡地での追加調査を行い、残されていた患者の遺骨を全て回収しました。

病院で亡くなった患者たちのために追悼の儀式が行われ、彼らの魂はようやく安らかに眠ることができました。

事件後、ヨシキと仲間たちは、過去に起きた悲劇を決して忘れてはならないという教訓を胸に刻みました。

彼らは、病院の廃墟を訪れる人々に、そこで起きた出来事を伝え続けることを誓いました。

このお話しはフィクションです。

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