囁く廃墟 - 廃校の秘密(短編)
山間の小さな町に、多くの人々が忘れ去った古い学校がありました。
この学校は何十年も前に閉校になり、今は誰も足を踏み入れることのない廃墟と化していました。
しかし、地元の人々の間では、学校にまつわる奇妙な噂が囁かれていました。
大学生のハルトは、この廃校に興味を持ち、夏休みを利用して友人たちと探索に出かけることにしました。
彼らはカメラとライトを持ち、廃校への探検を開始しました。
学校に着くと、彼らは古びた校舎に圧倒されました。
廊下にはほこりが積もり、教室の机や椅子は乱雑に放置されていました。
彼らは興奮しながら校舎を探索し、写真を撮り始めました。
しかし、探索を進めるうちに、彼らは不可解な現象に遭遇し始めました。
廊下の奥から子供たちの笑い声や囁き声が聞こえるのです。
声は近づくと消え、彼らは誰も見つけることができませんでした。
さらに奇妙なことに、学校の体育館には、古いピアノの音が響いていました。
ハルトたちは体育館に足を踏み入れると、ピアノの音が突然止まりました。
そして、彼らは壁に奇妙な落書きを発見しました。
落書きは、「助けて」というメッセージが何度も繰り返されていました。
この落書きを見たハルトは、何か悲しい出来事がこの学校で起きたのではないかと感じました。
彼は廃校の過去についてもっと知りたいと思い、地元の図書館で調査を始めました。
調査の結果、ハルトはこの学校が閉校になった本当の理由を知りました。
数十年前、学校で不可解な失踪事件が発生し、生徒数名が忽然と消えたのです。
その後、学校は閉鎖され、事態はうやむやにされていました。
この事件についての資料をさらに調べるうちに、ハルトは失踪した生徒たちが書いたと思われる日記を発見しました。
日記には、彼らが学校の地下室で秘密の遊びをしていたこと、そしてある日、彼らがそこで何か恐ろしいものを目撃したことが記されていました。
ハルトはこの手がかりを元に、再び友人たちと廃校を訪れました。
彼らは地下室の入口を見つけ、中に入ることにしました。
地下室は暗く、湿っ気が漂っていました。彼らは懐中電灯を手に、奥へと進みました。
地下室の奥で、彼らは驚愕する光景を目の当たりにしました。
壁には古い写真が何枚も貼られており、その写真の中の子供たちは、皆、恐怖に満ちた表情をしていました。
さらに、部屋の中央には奇妙な形の石が置かれていました。
ハルトは、この石が何らかの儀式に使われたのではないかと考えました。
その時、彼らは背後から子供たちの声を聞きました。
振り返ると、そこには透明な姿の子供たちが立っていました。
子供たちは、彼らに助けを求めているようでした。
ハルトたちは、子供たちが失踪事件の犠牲者であり、彼らの魂がこの場所に留まっていることを悟りました。
彼らは地元の神父に相談し、子供たちの魂を安らかにするための儀式を行いました。
儀式が終わると、子供たちの姿は静かに消え去りました。
この事件以降、廃校からは不気味な声や音が聞こえることはなくなりました。
ハルトと友人たちは、この経験を通じて、忘れ去られた魂たちが抱えていた悲しみを知り、人生の尊さを学びました。
最後までお読みいただきありがとうございます。
このお話しはフィクションです。